シベリウス交響曲第2番の解説

ジャン・シベリウス: Jean Sibelius

(1865年12月8日- 1957年9月20日)

シベリウス 交響曲第2番 ニ長調 作品43

 

シベリウスの交響曲の中で人気の高い曲といえば・・・?

好みは人それぞれだがやはり第2番がよく挙げられるだろう。

私も初めてこの曲を聞いた時、第3楽章の終盤から第4楽章に入る部分で大いに感動した。わかりやすくかっこよい・・・さてそんな交響曲第2番の紹介に入る。

 

シベリウスといえば、寒々しいフィンランドの光景を連想させるような曲想が登場することも多い。

しかし、この曲の大部分の着想は温暖なリヴェエラ海岸などのイタリア滞在中に得られている。

 

このイタリア滞在はシベリウスの崇拝者にして理解者、後には親友となるパトロン、カルペラン男爵の尽力によるものだが、パトロンといっても特別裕福なわけでなく、シベリウスのために金策に走り回ったというのが実態である。

 

2人の交流はカルペランが「フィンランディア」の命名を提案したことがきっかけで始まった。

厳寒のフィンランドに比べ温暖なこの国を彼は「魔法がかかった国」と評し、スケッチの筆は急速に進んだ。また、この国の様々な伝説や芸術作品も彼の創造力を刺激した。

 

途中家族を放置して単身ローマに逃げるという事件はあったものの、ローマでは、書き溜められたスケッチがまとめられ、交響曲第2番として、全曲のおおよその形が出来上がった。

 

その後家族と合流、5月に帰国してからはフィンランドでこの交響曲の仕上げに没頭し、1902年3月にヘルシンキで自身の指揮で初演され、空前の大成功を収めることとなる。

第1楽章 Allegretto


 ニ長調6/4拍子、ソナタ形式。大きな2拍子ともとれる。

まずは冒頭弦楽器によるニ長調の心地よいざわめきのような2度進行を背景に、第1主題が木管で提示されホルンが答える。

 

弦楽器のピチカートに転じ雰囲気が変わりながらも盛り上がったところで、木管で第2主題を提示する。

第2主題部分は比較的緊張感が高く、何度か高まりと弛緩を繰り返す。

 

この間フルートが何度か4分音符3つの合いの手を入れるのだが、2つ目の音は、2本が全音でぶつかっており、初めて聞くと音を間違ったかのような印象を受けるが、これで楽譜通り。冒頭のような心地よいざわめきが弦楽器に戻って提示部を閉じる。その後オーボエただ1本の第2主題で展開部が始まる。

 

展開部では、提示部で登場したモチーフが第1、第2主題の間の経過部で現れた動きも含めて、文字通り展開されもつれあい、どんどん緊張感が高まっていく。

弦楽器による壮麗なサウンド、さらには最高潮に達したところで満を持して登場する金管群によってファンファーレ風に演奏される。ホルンに先導され再現部に入り、最後は冒頭の心地よいざわめきのようなモチーフが繰り返されながらイ々に静まっていく。

第2楽章 Tempo andante, ma rubato - Andante sostenuto


 二短調44拍子、シベリウスがよく使用したAーBーA-Bーコーダの構成。

 

ティンパニのトレモロで曲は始まり、低弦のピチカートがしばらく続く。

ドン・ジョヴァンニ伝説から着想されたと言われる第1主題がフアゴットによって幻想的に奏される。

 

しばらくすると、オーボエとクラリネットが副主題を変する。

これらの主題は緊張感とともに高揚感を高まらせながら盛り上がり、最後は金管がコラール風に締めくくる。

 

Andante sostenutoに転じ、静寂の中から弦楽器のひそやかな第2主題が始まる。

やがて総休止の後、今度はトランペットとフルートによる応答で第1主題が再現される。

 

続く第2主題の再現はヴィオラとクラリネットにより淋しく奏でられて始まり、金管を交えて幻想的に発展する。

 

コーダは木管と弦の断片的な短いフレーズの応酬があり、最終盤ではもう一度金管も含めた一瞬の盛り上がりを見せた後、2つのピッツィカートでこの楽章を結ぶ。

第3楽章 Vivacissimo - Trio. Lento e suave - attacca


変口長調 6/8拍子、第2楽章同様のAーB一A-B-コーダの構成。

まずは疾風のような非常に速いスケルツオが始まる。

これが終わると、今度は一転してオーボエのソロから始まる非常にゆったりしたトリオとなる。

 

一度盛り上がったのち静まると、突然金管が冒頭のフレーズで荒々しく打ち抜り、再び非常に速いスケルツオが始まる。

そしてすぐまたゆったりしたトリオがオーボエによって奏され、その応答に独奏チェロに始まる弦楽器が加わる。

 

徐々に盛り上がりながら次第に第4楽章のテーマの断片が現われ、ついには第4楽章冒頭の豪華・壮麗な第1主題に休みなく突入する。

盛り上がり切ったところが第4楽章の冒頭である。

第4楽章 Finale. Allegro moderato - Moderato assai - Molto largamente


 二長調3/2拍子、ソナタ形式。弦楽器の力強いモチーフにトランペットが勇壮に応える第1主題で開始される。

盛り上がりが一段落すると、弦楽器のうねるような短調の音階的動きが繰り返される。

この伴奏の上で木管が入れ替わりながら物悲しい第2主題の旋律を奏でる。

 

発展し最終的に長調に転調することで一気に空気を変え、金管による頂点を作る。

落ちついた後Moderato assaiの展開部に入る。

第4楽章冒頭のモチーフがフルートによって静かに現れ、第2主題も巻き込みながら高揚し、一層豪華さを増した第4楽章冒頭が再現される。

その後、第2主題部が再現されるのだが、提示部に比べ繰り返しが遥かに長大である。

 

短調のうねる音階はついには木管にも展開され、これでもかと繰り返される。長調に転調する気配を何度も見せるものの、短調のまま繰り返される。

 

最後の最後についに長調への転調を果たし、金管によってファンファーレ風にモチーフが奏でられる。

低弦のピッチカートに続き、ファゴットも加わって第4楽章冒頭のテーマが奏され、大団円に向かっていく。

 

終結部ではオーボエ、トランペットやトロンボーンが高らかに第1主題によるコラールを力強く奏で、全曲の幕を華々しく閉じる。