シベリウス交響曲第7番の解説

ジャン・シベリウス: Jean Sibelius

(1865年12月8日- 1957年9月20日)

シベリウス 交響曲第7番 ハ長調 作品105

 

交響曲第7番は、1924324日 ストックホルムにてシベリウス自身の指揮で初演された。シベリウスが

完成させた交響曲では、最後の作品となる。

 

 

シベリウスの作曲した交響曲の中で唯一の単一楽章からなる交響曲であるが、当初シベリウスは三楽章構成で考えていた。

楽章こそ単一であるが、伝統的な交響曲の各楽章の要素、性格(緩徐楽章、スケルツォ、フィナーレ等)が巧みに内包されている。

 

 

完成した曲が単一楽章であることから、交響曲と名づけるか迷い、初演時には『交響的幻想曲』という名前で演奏されたが、出版時には交響曲として番号を振られて現在に至るまで交響曲第7番として親しまれている。

 

 

冒頭ティンパニから続く弦楽器の音階が、不気味さを出すが、フルート、クラリネット、ファゴットによって、気品がありつつも伸びやかな主題が拡大して用いられる。

 

 

管、弦による短いかけあいの後、木管楽器による山型のモチーフが現れ、その後はヴィオラが先導する形で弦楽器が9つの声部にわかれてコラールを形作っていく。

 

 

ここで、トロンボーンによる最初のテーマが現れる。

「信仰宣言」とも表現されるこのテーマは曲の中盤、そしてフィナーレに配され「提示」「展開」「再現」の柱の役割を果たす。

 

 

Un pochett meno adagioからは冒頭の音階より来ているモチーフを発展させ、2分の3拍子、4分の6拍子と変化していき、フルート、ファゴットまた1stヴァイオリンとチェロの各高低差のあるペアによる掛け合いが緊張感を高めていく。

そのままVivacissimoへ駆け抜けると、スラーを伴った跳躍とそれに付随した4分音符がスケルツォ的に音楽を進めていく。

 

 

勢いを弱めながら、2分の3拍子へと変化していくと、弦楽器のうねりのような動きの中に2回目のトロンボーンのテーマが現れる。

トロンボーンのテーマの後は、激しく緊張状態にあったメロディから落ち着いていき、Allegro moderatoからはシベリウスが本来フィナーレに使用を考えていた「ギリシャ風ロンド」ともとれる新たな部分が現れる。

 

 

管楽器の軽快な舞曲風の音型にヴァイオリンが応答して形成されるロンド主題は、序部を経て前述のVivacissimoで見られた連続する4分音符に8分音符の刻みを加え、より軽快に流れていく。

 

 

ハ長調から変ホ長調へと転調した後、音楽は一瞬の静寂を迎える。

すぐにフィナーレへと導くVivaceがはじまり、Prestoに入るとハ長調に戻るとともにドミナントのト音を27小節も連続させ主和音の解決を準備しながら、管楽器の上行音型によって緊張感を増していく。

これは初期の作品にも見られる、シベリウスの特徴的な手法である。

 

 

Adagioで主和音に解決したところに、最後のトロンボーンのテーマが登場する。

弦楽器が奏でる音階、上行型の半音階を経てボルテージは高まり、Largamenteで最高音のハ音まで辿り着く。神々しい美しさを維持したまま下行音型を辿っていくと、フルートとファゴットが冒頭の拡大したモチーフを再現する。

 

 

曲は最後、トロンボーンのテーマ冒頭のニ音ーハ音に、ロ音ーハ音が応え、ハ長調の壮大なハーモニーをもって締め括られる。